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【実施報告】2026年6月27日開催「カミとホトケの物語~サブカルチャーと融合する神道と仏教~」

 2026年6月27日、京都文教大学臨床物語学研究センターによる公開シンポジウム「カミとホトケの物語~サブカルチャーと融合する神道と仏教~」が開催されました。センター委員として企画をされた林雅清先生が司会を務め、現代のサブカルチャーやエンターテインメントがいかにして伝統的な神道・仏教の世界観と結びつき、新たな価値や地域とのつながりを生み出しているかについて、多角的な視点から議論が交わされました。

 基調講演では漫画家のロビンやすお先生にご登壇いただき、実在の京都の街を舞台に、神様や霊が見える少年がこの世ならざる事件を解き明かしていくマンガ『スサノオくん』の誕生経緯についてお話いただきました。京都で暮らすなかで不思議な体験を重ね、「神様との約束」を果たすかのようにマンガ執筆に挑戦することとなったロビン先生は、「観光という言葉のなかにある『光』とは、その場でしか感じ取れない何か。それを観ることが『観光』ではないか」と問われました。そうして地域との接点を深めていき、祇園祭に関わる人々との縁から始まった『スサノオくん』とのコラボレーションでは、山鉾をめぐる歴史を描いたリーフレットが反響を呼び、2026年には14基の山鉾との協働作業が決定しました。創造したキャラクターが実際の地域や歴史をつなぐ架け橋となることへの期待、そして古来から多くの人が大切にし続けている場所や風土を単に消費するのではなく「畏れ敬う」ことの意識の大切さが語られました。

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 続いて、現役の副住職でありながら会社「神社仏閣オンライン」を経営する河村英昌氏より「エンタメと神社仏閣の親和性」と題してお話していただきました。河村氏は、神道と仏教が手を取り合って発展してきた神仏習合の歴史に可能性を見出し、「文化協創・地域共助・核心遵守」の3本柱の理念のもと、YouTube発信やゲーム開発、伝統工芸とアニメの融合、さらに寺社が合同で行うイベント企画などの具体例を紹介されました。神社仏閣をめぐる伝統的な「核心」を守りつつも、エンターテインメントを潤滑油として活用することで敷居を下げ、地域の人々に親しみを持ってもらいながら関わり合える新たな展開が可能になるのではと述べられました。

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 また、霊明神社の神主を務めておられる村上浩継氏からは、この日の一週間前に創建されたばかりの「美山ぬいぐるみ神社」についてお話いただきました。現代の「推し活」から展開した「ぬい活」が流行語になるほど定着する中、ぬいぐるみを家族や友人のように扱い、癒やしを見出す現代人のありようについて、この現象は決して新しいものではなく、モノに神が宿ると考える「八百万の神」の精神や、人形供養・針供養といった日本古来の文化に通じると指摘します。そしてぬいぐるみを修繕する「病院」の経営者からの相談を受けた時期に、偶然にも行き場を失っていたお社を譲り受けるといった出来事が重なり、美山の地でぬいぐるみの御霊(みたま)を祀り、それとともに地域の自然を保全するプロジェクトを始動させた経緯が語られました。こうして誕生した「美山ぬいぐるみ神社」では人々の純粋な想いに応える場であり続けたいという抱負が述べられました。

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 後半のパネルディスカッションやフロアを交えた質疑応答では、神社仏閣の経済的な存続問題や、キャラクターが持つ発信力について議論が及びました。さらに現代のコミュニケーションにおける「適切な距離感」や「人の形」に魂を見出す日本人の特有の宗教観について、VTuberの存在やロボット工学の視点なども交えながらの意見交換が行われました。シンポジウム風景.jpg

 最後に、センター長の平尾和之先生から全体の総括としてコメントをいただき、伝統を尊びながらも物語の力を使って新しい実践を生み出している各登壇者に敬意を表し、「見える化ばかりが求められる昨今の社会の中で、見えないものによって大いなる活力をいただいた」と結びました(事務局 立石尚史)


本シンポジウムの模様は臨床物語学研究センターYouTubeチャンネルで公開予定です。