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【実施報告】2026年6月10日開催 「セラピストのコミュニケーション能力を養うためのワークショップ Vol.12」

臨床物語学研究センターでは劇作家・演出家で本学客員教授の平田オリザ先生を今年もお招きし、「セラピストのコミュニケーション能力を養うためのワークショップ Vol.12」を同唱館で6月10日に実施しました。

本学臨床心理学研究科の大学院博士前期の1年次生が実際にワークショップを体験し、来場者がその様子を見学しながら平田オリザ先生の解説を聴講しました。参加者は90名でした。

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お互いの共通点を見出したり、架空の趣味を媒介にして人との価値判断の差異を体感するワークや身体を使ったワーク、そして寸劇を通して対話の文脈の微細な違いを考えるワークなどを体験し、対人援助職を目指すうえで、様々な文脈を意識して人と関わっていくことの大切さを平田先生に解説いただきました。

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平尾センター長との対談においては、セラピーの現場においてほとんどのクライアントは自分のコンテクスト(背景や文脈)を理解してほしいと要求しているけれども、あえて「わからないこと」から出発することが多少の救いになるのではないかということが平田先生から示唆されました。「コミュニケーションは接点づくりから始まるものであり、異なる価値観を持つ人がなぜそのような言動をとるのかを理解しようとする態度や努力、つまりエンパシーが重要であり、同化はしないまでも、相手の感情に自分なりの経験から少しずつ近づいていくことが大切では」と語られました。

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また、平田先生の近著『寂しさへの処方箋ー芸術は社会的孤立を救うか』にまつわるお話として、即効性がなくても体質改善をもたらす漢方薬のような役割を芸術が果たせるのではという提言がなされ、育児や仕事の負担が偏りがちな日本の女性が「遊べる」社会をいかに作るかという問題や、低成長のなかで外国人労働者と共生するしかない現状のなかで歪んだ差別意識が生まれない社会をどう築いていくかといった問題について触れられ、そのために社会との接点を生み出す芸術の役割の重要性について語られました。そのヒントとして、平田先生からは英国で実施されている「社会的処方」の考え方を紹介され、医療行為として薬を出す代わりに地元のコーラスサークルへの加入を勧める文化支援の方が、統計的に病気の予防効果が高くコストも低いという事例を引き合いに出され、こうした社会的な流れを心理臨床を学ぶ学生たちも把握しておくのが望ましいと述べられました。

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また、フロアの院生からの質問に答える形で、自分とは異なるものに触れる際は、趣味が固定する前の若い時期にどれだけ好みや主体性を広げて多様な人々に出会えるかが大切であるとした上で、演劇が教育に組み込まれている欧米発の心理的支援技法を日本にそのまま導入するにあたっては、日本では演劇を取り入れた教育的基盤が乏しいという点を認識しておく必要があるのではと指摘されました(事務局 立石尚史)