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2020/10/28 『文楽と日本人の心』 講師:桐竹勘十郎先生

本学客員教授でもある文楽人形遣い桐竹勘十郎師匠をお迎えし、臨床物語学研究センター主催『文楽と日本人の心』にてご講演と文楽の実演をいただきました。当日はコロナ対策として、人数制限を設けた会場開催+オンライン・ライブ配信という、ハイフレックス型の新しい開催方式に挑戦しました。

コロナ禍の影響で、3月からの舞台公演が出来なかったと語る師匠。今回の公開講座を含め、舞台で芝居を演じることが出来る嬉しさをお伝えになられていました。

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400年程前から続く人形浄瑠璃・文楽座の歴史や、受け継がれてきた文楽人形の仕掛けを、実演と共に解説いただきました。人や動物の動きを表現する為に考案された細工や微細な動きに会場中が注目していました。一人で人形を動かす一人遣いから、首と右手を担当する主遣い(おもづかい)・左手を担当する左遣い・両足を担当する足遣いの三人遣いの形へと変化することで、人間以上の動きが可能となったと語る師匠。師匠自身も14歳の入門から15年間を足遣いの修行に費やされ、そのご経験から「足遣いの修行が無ければ主遣いにはなれない。何事も一足飛びにはいかない」と仰られていました。

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                                                                                                        平尾和之センター長との対談の中で師匠は、演じる際に役柄の心になりきる部分と表現する技術の両方を、同時に同じレベルで行うことが大切である、と述べられていました。また、「一生懸命に人形を遣う自分と舞台全部を見通す自分の二人が存在する」という師匠の言葉に、センター長は「カウンセリングの世界も同様に、相手の方の心の世界にグッと入る部分とカウンセリングの場を見守る自分という2つの世界を同時に観る必要がある」と、文楽の精神性と心理療法の接点を語っておられました。

  DSC00871.JPG           DSC00870.JPG                                                                                                                                        最後に、文楽が好きだから今まで続けることが出来たと仰られる師匠は、学生たちへのメッセージとして「好きの度合いを高めていただきたい」との言葉を贈られました。(学生スタッフ:花本和真)

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当日の動画はYou Tubeからご覧になれます。⇒https://www.youtube.com/watch?v=OSjk1RAdEqI