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【実施報告】2011/5/18 『気と体にみる日本的精神性:気のせいか気のおかげか』

講師:濱野清志(京都文教大学臨床心理学部教授)
司会・対談:秋田巌(京都文教大学人間学研究所所長)

2011年5月18日(水)13:00-14:30
会場:京都文教大学 弘誓館 G102教室

 日本独自の心理療法について考える本シリーズの第6回目は、身体疾患に対する心理臨床的アプローチの実践と研究を行っている本学の濱野先生をお招きし、「気功」を中心にお話をしていただきました。普段は「あたりまえのもの」として意識しない身体の感覚を大事にし、体に目を向ける作業を通して「わたしという位置から世界を捉え直す作業」であるのが気功であるという解説がなされ、道教の「仙術」からはじまるとされる気功の成り立ちといった歴史的背景などについても触れていただきました。また「話し言葉の力」といったテーマにも話が及び、海外で行った調査で実感した「口承伝承による語り」のもつ意味や、音として残りやすい日本語の特性といったことなど、話し言葉から生まれるものを大切にする作業ということも気功研究を通して考察されてきたとのことです。対談において秋田先生からは「気功を数十年続けてこられていて、その魅力は何でしょうか」と問うと「心理臨床の仕事をするうえで、自分の足場、軸のようなもののひとつが『気』だと思っています」とのことでした。