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【実施報告】2010/10/6『寺社巡礼にみる日本的精神性』

講師:藤波源信(北嶺回峰大行満大阿闍梨、延暦寺宝珠院住職)
導入解説:手嶋英貴(京都文教大学現代社会学科准教授)
司会・対談:秋田巌(人間学研究所所長)

日時:2010年10月6日(水)13:00-14:30
会場:京都文教大学 弘誓館 G104教室

 延暦寺宝珠院の住職であり、北嶺回峰大行満大阿闍梨である藤波源信先生をお迎えして、比叡山に伝わる「千日回峰行」を中心とした寺社巡礼の修行をめぐるシンポジウムを開催いたしました。まず手嶋英貴先生(現代社会学科准教授)に導入解説をしていただき、千日回峰行においては「利自から利他」へと修行の目的が異なっていくといった説明がされ、実際に藤波先生が修行をされたときの記録映像も紹介され、1000日間にわたる巡拝、そして「堂入り」として9日間にわたる不眠不休、断食断水の様子に来場者は息をのみました。そして藤波先生のご講演では、来場者との質疑応答による対話が中心になりました。「どうしてこのような厳しい修行をされようと思ったのか」という質問には「自分にはそれが合っていたから。その方が安らげるから行っただけ」とお答えになり、「修行をした前後で何か変化はありましたか」の問いには「いろいろなことが愛おしく思えるようになった」とお答えになられました。「祈ったからといって世の中はよくなっていくわけではないかもしれないし、むしろ悪くなっているかもしれない」と仰りつつ、毎日世界平和のために祈り続けているという藤波先生の言葉に、秋田所長は「臨床家は難しいケースにおいてついどこかで匙を投げてしまいたくなることがあり、教えられるところが大きい」とのコメントを述べられました。

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