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【実施報告】2010/6/23『武士道の成立と展開』

講師:笠谷和比古(国際日本文化研究センター研究部教授)

講師紹介・コメンテーター:禹鍾泰(京都文教大学臨床心理学部教授)
司会・対談:秋田巌(京都文教大学人間学研究所所長)

日時:2010年6月23日(水)13:00-14:30
会場:京都文教大学 弘誓館 G101教室

 武士道研究の第一人者である国際日本文化研究センター研究部教授の笠谷和比古先生にお越しいただき、「武士道」をめぐる言説の変遷についてお話をしていただきました。研究者の数だけ武士道が定義されてしまう状況を乗り越えるべく、実証主義史学の見地から、いかに当時の武士社会において武士道の考え方が成り立ち、実践されていったかを綿密な考証をもとに語られました。「理非善悪をわきまえ、恥を知ってけじめと責任に背を向けず、たとえ一人となっても困難な状況に敢然として立ち向かっていく精神と行動」というものが現代社会においても通じる武士道のありかたとして論じられたほか、秋田先生・禹先生とのディスカッションにおいては、中世ヨーロッパの騎士道との比較について、特権的な享楽を騎士と同様に享受できたはずの日本の武士たちが、幕末に至るまで行政分野において勤勉に働いていたことの「謎」に関して議論がされました。