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2024年度入学式 学長式辞

 新入生の皆さん、京都文教大学へのご入学おめでとうございます。ご家族、関係者の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。お子様がここに至るまでには、きっと様々なご苦労があったことと思います。これから社会にでるまでの大切な期間をぜひ私ども教職員と一緒に歩んで頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、大変お忙しい中、ご臨席を賜りました浄土宗総本山知恩院秦博文上人はじめ、ご来賓、学園関係者の皆様にも、日頃からのご指導・ご支援、そして本日のご臨席に深く御礼を申し上げます。
 さらに、年初の能登半島地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表すると共に、まだまだ苦しんでいらっしゃる方々、世界では戦禍の中で命の危険に晒されている人々にも想いを寄せたいと思います。その上で、今日、こうしてここに皆様と共に集うことができた「ご縁」に感謝したいと思います。

 さて、今年は桜の開花の知らせが待ち遠しく、温かくなったと思ったら、急な寒さや雨に見舞われるという変わりやすい天候でしたね。しかし、まるで今日の日をまっていたかのように、美しい花を咲かせ始めています。実は、私は桜の花が開花するには、温かな気温が必要なのだと思っていましたので、最近の寒さが開花を遅らせていると思っていました。しかし実は、冬の寒さこそが必要だということを知りました。1月、2月の寒さに耐え「休眠打破」をすることで、初めて開花するのだそうです。開花するためには、人が高く飛び上がるためには一旦膝を曲げて低くならなければならないように、じっくりとした寒さの中で力を蓄えることが必要だったのです。

 皆さんの大学生活、そして大学院生としての新たな学生生活は、今日からスタートします。どのような気持ちで、ここに座っていらっしゃるでしょうか。目指したい職業や夢が決まっている人もいれば、これからじっくりと考えようと思っている人、それ以上にこれからの生活に少し不安を感じている人もいるかもしれません。でも、どうぞ安心してください。変わりやすく厳しい環境の中でも、皆さんお一人お一人が、それぞれの花を咲かせるために、じっくりと力を蓄え、成長できるよう、様々なチャンスやサポートをこの京都文教大学では用意しています。最近では、桜の花も、ソメイヨシノだけでなく、少し早く咲いたり、色合いや枝振りも異なるたくさんの種類が見られるようになっています。大学も、皆さんが伸び伸びとそれぞれの個性を見いだし成長できる機会を提供したいと考えています。

 先ほどの入学生代表の宣誓で、実践社会学科の第1期生となる大橋さんは、高校時代のご自身の出会いと成長の経験を素晴らしい言葉で語ってくださいました。支えられる側から、支える側になりたい、そのために大学で学び様々な経験をしたいという決意表明を受け止めました。
 まさに、この言葉のように、大学は、皆さんが与えられるだけでなく、大人として何かを与え生み出すことができる人になるための場所です。そのためには、一人ひとりの皆さんに、単なる「知識」を獲得するだけでなく、それらの知識を生かして、自分で考え判断できる「知性」や「知恵」を身に付けて頂きたいと思っています。そして、それらの判断力は、実際の具体的でリアルな体験をして、その体験をきちんとふりかえり言語化し、自分の経験として語れるようになることで養われると考えています。
 そのために、企業、自治体、医療機関、学校など、様々な地域の方々と協働しながら、実習やフィールドワーク、インターンシップ、留学、多様な心理臨床経験など、皆さんの学習や活動をサポートする仕組みが京都文教大学にはたくさんあります。学習や活動で困ったときに相談できる教職員が大勢います。だから、どうぞ思い切って、小さなことからでも構いません。大学デビュー、大学院デビューで新たなチャレンジに踏み出してください。皆さん自身も気付いていないかもしれないあなた自身の可能性が花開くきっかけに出会えるはずです。

 高校までの学びと大学が違うのは、「正解がない」ことを前提としているということです。どんな知識を学ぶにしても、「今まではこう言われてきた」「だからその通りだ」というのでなく、「本当にそうだろうか」「もっと違う考え方や見方はないのだろうか」と「問いを立てる」ところから始まるということです。それが学問であり、私たち教員も学生さんと一緒に考え研究します。だからこそ、皆さんは自分の感じることや考えることを大切にし、それを他者と共有し、同時に他者の存在や考え、価値観の多様性にも触れ、自分のこれまでの「当たり前」を打ち破ることで成長していける、そんな場所が大学です。決められた正解がないことは不安かもしれませんが、色々な失敗や試行錯誤を通して身に付ける判断力こそが、今後もっともっと変化に揺さぶられるであろう皆さんの将来・未来につながる知性となるのです。

 大学院生の皆さんは、志を高く掲げ、素晴らしい先生方やスタッフの皆さん、そして同期生の皆さんと切磋琢磨して、今後ますます重要になる心理臨床分野の専門家として、地域・社会に貢献できる人材となれるよう研究・実践を積み重ねてください。期待しています。

 最後になりますが、本学の建学の理念。大学として大切にしている考えを覚えておいてください。それは「ともいき」です。これは、「四弘誓願(しぐぜいがん)」という仏教の用語を優しく言い換えた言葉であり、「一人ひとりが認め合い、互いに生かし合うこと」「他者の幸せを自分の幸せと感じることができること」を指します。専門分野を問わず、困難を抱えた人、自分と違う立場や考え方の人、どんな人にも寄り添い、ともに生きていける社会、自分も生かされることのできる社会を一緒につくっていけるようになっていただきたいです。

 皆さんのこれからの学生生活が、たくさんの出会いと笑顔に溢れるものになることを願っています。




京都文教大学 教職員一同を代表して

京都文教大学学長 森正美

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