Bunkyo Future

京都文教学園は、1904(明治37)年、校祖・獅子谷佛定上人が仏教精神に根ざした人間教育を実践することを建学の精神として創立されました。しかし、この建学の精神は園児・児童・生徒・学生に対する教育の基礎であるだけでなく、そこに奉職する教職員が目指すべき理念でなければなりません。
教育機関の要は言うまでもなく「教育」であり、有為な人材の育成にあります。創設以来、本学園は仏教精神に基づく人間教育を実践してきましたが、その仏教の教育理念は「転識得智(知識を転じて智慧を得る)」にあります。これは学校での学びが単なる知識の習得ではなく、その知識を智慧に転じて社会に貢献することを理想とします。では、いかなる教育手法で実現するかというと、それは体験や現場での学びを重視する探究教育であり、この探究教育に SDGs を重ねてみたいと思います。
SDGs の理念は「誰一人取り残さない (No one will be left behind) 」ですが、これは「摂取不捨(摂取して捨て給わず)」という阿弥陀仏の慈悲と共通します。「誰一人取り残すことなく浄土に収め取る」という平等の慈悲に摂取された我々人間は、その恩を知り(知恩)、またその恩に報いる(報恩)ために、「共生社会(仏教ではこれを「浄土」と表現)」の実現に力を尽くさなければなりません。
このように本学園が目指す「共生社会」の実現に向け、創設以来培ってきた「人間教育」と「探究教育」を融合し、学園内の各設置校はそれぞれの発達段階に応じて、「探究教育」を実践し、年に1回、学園全体の発表会の実施を目指します。このような試みから、学園を通じた教育の特徴を明確にし、社会の一員として、「共生社会」の実現と持続可能な社会を目指したいと思います。また、これにより高大接続を含め学園内部進学の増進が期待でき、さらに発表会後は各設置校の担当者が自分たちの探究教育を振り返り、改善点を洗い出すことで、より一層の教育の改善、および学園内教育の一体感を目指すものです。
社会の変化は加速しています。現在、そして未来を示すキーワードは上記SDGsの他、下記の通り溢れています。Society5.0、人生100年時代、VUCA、AI、DX、ダイバーシティ、ウェルビーイング等々。教育に関わるものとして、主体的・対話的で深い学び、誰一人取り残さない、個別最適化、教育のデジタル化、文理融合等々。これらの中から教育機関として求められるものを峻別し、対応していくことが必要です。
学校法人は、常に時代の変化に対応した高い公共性と信頼性を確保しなければなりません。建学の精神・理念に基づき自律的に教育事業を担う学校法人は、こうした高い公共性と信頼性のもとでの社会的責任を十二分に果たして行かねばなりません。ステークホルダー(学生・保護者、同窓生、教職員等)はもとより、広く社会から信頼され、支えられるに足る存在であり続けるために、公共性と信頼性を担保する必要があります。
学校は、社会から、教育・研究及びその成果を社会へ還元するという公的使命を負託されており、社会に対して説明責任を負っています。従って、その設置者である学校法人は、経営を強化しその安定性と継続性を図り、各設置校の価値の向上を実現し、その役割・責務を適切に果たすことが必要です。京都文教学園は、このような役割・責務を果たすため、自律的なガバナンスを構築してまいります。

第3期中長期計画の概要

2023-2027

京都文教学園 法人事務局

第3期中長期計画を策定するにあたり、以下の4項目について、法人事務局を含む各設置校において現状を検証した上で目指すゴールを設定し、そのための基本方針、実行する施策をまとめました。

第3期中長期計画

<法人事務局>

  1. 組織運営(人事施策や働き方)
  2. 募集・広報(園児・児童・生徒・学生の獲得・確保)
  3. 施設・設備の整備
  4. 経営基盤の健全化

<設置校>

  1. 教育力の向上・強化
  2. 組織運営(人事施策や働き方)
  3. 募集・広報(園児・児童・生徒・学生の獲得・確保)
  4. 施設・設備の整備

ここでは、各設置校の本計画の概要をご案内いたします。
全体版はデジタルブックをご覧ください。

京都文教大学

建学の理念「四弘誓願」の具現化をめざし、「ともいき」社会を実現するための取組とその担い手であるともいき人材の輩出をさらに充実させます。教育・研究・社会貢献・組織運営の全ての面においての「質の保証」をめざし、変化する時代を切り拓く持続可能な大学づくりをおこないます。
第3期中期計画では、徹底した教育の質向上をはかり、その成果を社会と共有するための情報発信を充実させ、本学の社会的価値および競争力の向上を目指します。
各学位プログラムにおいて、私たちが目指すべき教育成果とその特色を明確にし、一人ひとりの学習者の成長と学習目標到達に最も適した教育と組織の仕組みを開発・構築し、本学の教育の魅力を徹底して追求します。
学生一人ひとりの顔のみえる本学の規模と地域・社会連携の蓄積を強みとして、正課科目、課外活動などをシームレスにつなぐ教育・学習支援を実現し、学生時代の豊かな経験が学生の未来を生み出すような満足度の高い活動のために努力していきます。
また、それらの教育方法やプロセスを多様なステークホルダーと共有し創造する機会を大切にし、本学への信頼をより一層確かなものにすることで、本学が生み出す人材とともに、地域や社会に必要とされ続ける大学であることを目指します。
そのためには、大学に関わる全ての教職員が、時代の変化に対応していける専門的研鑽や資質向上に努めつつ、互いに豊かなコミュニケーションを育み協働できる組織作りを通じて、安定した経営と持続可能な大学づくりをおこなっていきます。

【Purpose(パーパス)・なぜ社会に存在するのか】

京都文教大学は、一人ひとりが認め合い生かし合う「共生(ともいき)社会」の実現のために存在します。変化を続ける時代にあっても、より良い社会を生み出し人々の幸せを実現するために、多様な背景をもった者同士が知恵を出し合い協働することを促進する存在でありたいと考えます。

【Vision(ビジョン)・どこを目指すか】

それを体現する姿として、京都文教大学に関わるより多くのステークホルダーから「出会えてよかった」と評価してもらえる存在を目指します。学生はもちろん、地域や産業界の方々、さらには大学で働く私たち自身が京都文教大学と「出会えてよかった」と思える姿です。

【Mission(ミッション)・何を行うべきか】

そのために、本学では、個性と多様性を尊重しながら協働する大学として、その教育研究社会貢献事業を通じて、大きく次の3点を行います。

  • 一人ひとりにあった学びの場と機会を提供すること
  • 専門性を活かした地域や社会に必要とされる知の拠点であり続けること
  • 多様な価値観を受け入れ、変化する社会を生き抜く人材を育成し輩出すること

京都文教短期大学

京都文教短期大学は次期中長期計画においても、これまで通り学生、教職員及びすべてのステークホルダーに対し、授業、学校行事、広報活動等を通じて、建学の精神である「三宝帰依」の精神の理解促進・実践を推進します。即ち「謙虚にして真理探究」「誠実にして精進努力」「親切にして相互協同」を理解・実践していくことで、広く人間力の向上を目指していきます。
また、社会及び学園内において、こうした短期大学の伝統、歴史、精神を引き続き根付かせるとともに、京都文教学園が将来にわたって「公共性」「永続性」を実現し、存続するためには、経営基盤の健全化は必須であり、規模の縮小も含め最適化された教学組織体制を計画的に構築していきます。

京都文教中学校・高等学校

第3期中長期計画のコンセプトフレーズは「文教で学んでよかった」です。本中長期計画においては、あらゆる事業をこのコンセプトの実現にむけて計画し、全教職員の行動指針といたします。
「文教で学んでよかった」を実現するための本丸は「1.教育力の向上・強化」です。ここでいう「教育力」とは、個々の教員の教科教育力を指すものではなく、京都文教中学高等学校の「人材育成力」の総体のことを指します。生徒は、日々の授業、学校の日々の生活、部活動、委員会活動、学校行事、受験や受験準備、そして教員との出会いや友人との出会いなどを通して成長していきます。これら、生徒たちを成長させるあらゆる「もの」や「こと」、「機会の提供」の総体を本校の「人材育成力」と定義します。教科教育、部活動や委員会、学校行事、キャリア教育等と、正課外の機会の充実が「文教で学んでよかった」を実現するエンジンとなります。
しかし、良い教育の提供や、生徒たちが良い学校生活実感を得るためには、教職員自身が心豊かにゆとりをもって業務にあたることが大切です。一人ひとりの教職員自身が「謙虚、誠実、親切(明るく・正しく・仲良く)」という建学の精神を体現することを通じて、教職員から生徒達に、あるいは生徒から生徒へ、時間をかけて建学の精神が「熏習(くんじゅう)」されていきます。心豊かにゆとりをもって業務にあたるためには、効率化、DX化を通じた教員の事務負担軽減などによって時間とゆとりの捻出することが必要です。「2.組織運営(人事施策や働き方)」は「文教で学んでよかった」を実現する上で極めて重要です。
さらに、社会からの評価を教育現場にフィードバックし、自分よがりの「文教で学んでよかった」にならない(つまり「文教で学んでよかった」の客観性を高める)ためには、募集・広報活動を通じた教育改革への後押しが極めて重要です。本校の強みは何か、弱みは何か、何をすれば保護者や社会が「文教で学ばせたい」と思うかを最も敏感に察知できるのは渉外部門である入試対策部です。生徒を集める手法の改善にとどまらず、「文教で学んでよかった」を実現する上で「3.募集・広報(生徒獲得の方針)」は極めて重要です。
また、教室、施設、設備についても、教育を継続するための維持管理・更新、社会のニーズの変化に対応した教育を支える施設設備の構築、建学の精神に基づいた特徴あるキャンパスづくり、健康的かつ安全で豊かな施設、地域連携・社会貢献を通じて、生徒の「文教で学んでよかった」という気持ちを実現する上で極めて大切です。
本計画は、「文教で学んでよかった」を実現するための「4つの柱」にもとづいて構成しました。

京都文教小学校

京都文教小学校は「すきなことが、がっこうにある」を掲げ、学校教育の礎である小学校生活の充実を目指します。「すきなこと」は、学習面にも生活面にも行事・集会活動にも存在すると捉え、これらの活動を通じて、児童一人ひとりの達成感や成功体験、仲間との一体感や自己有用感といった「できる」「やってよかった」を支援することが、私たち教職員の使命です。本校は、一学年一クラス30人の小規模校です。6学年の指導には教員13人を学年担任と教科担任に配置しています。そこで、少人数ならではの強みを生かし、児童個々の特性を見極めた専科教育と、縦割りと横のつながりを深める学級指導に力を注いでいます。
5年後の本校教育の成長と児童募集の成果の姿を記載し、「すきなことが、ここ文教小にある」の実現のため、ここに中長期計画を示します。

京都文教短期大学附属家政城陽幼稚園

京都文教短期大学附属家政城陽幼稚園は、学園設置校の中で最も早く少子化の波を受けています。第2期中長期計画では園児数減少を食い止める5年となりました。第3期計画では、全園児数120名以上の維持を目標に、保護者同士の関係が希薄化し、子育ての孤立が目立つ今、より幼稚園が園児にとっても保護者にとっても「居心地の良い場所」となれるように進めていきます。また、学園内にも幼稚園の状況を強く発信し、大学・短期大学とも連携を図り、優秀な人材(幼稚園教諭)の育成や、園児・保護者の有意義な時間に繋げられるようにします。

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