翻訳著書

 

1986年
 12月

『王権』  A.M.ホカート著  人文書院 “Kingship”

  創世期における国家の発展にとって王権にまつわる儀礼とそれを司る組織が重要であったことを明らかにした著作。王の葬式や即位式にあらわれる象徴は、社会のまとまりを認識する世界観を鮮やかに表現しており、フィジー文化研究にも先駆的な示唆を与えている。
1991年

「変化の旋律  ー ハワイアン音楽へのインパクト」 エリザベス・タタール著 橋本訳 『観光と音楽』 石森秀三 編集 藤井知昭監修 民族音楽叢書  東京書籍  pp.37ー67 "Strains of change”

  観光産業にとって第一の呼び物であるとともに、ハワイ文化の非常に重要な一部分でもあるハワイアン音楽に、観光が深く影響を与えている。中では、ハワイアン音楽の伝統的な形態の分類を示し、それが19世紀末の複雑な変化を反映し、更に 1920 年代以来の観光の劇的な増大によって拡大したことが指摘されている。また観光関連企業が音楽と踊りを販売促進のための商品として使ってきても、伝統に対する責任感をもっていないことが問題であると結んでいる。

1991年

「黄金の国々への旅 −クナ音楽と観光のインパクト−」サンドラ・スミス著 橋本訳  『観光と音楽』 石森秀三 編集 藤井知昭監修 民族音楽叢書 東京書籍 pp.153ー173

  パナマ共和国のサンプラス諸島のクナ人社会における地元の人々と旅行者、それに旅行業者の三者の相互関係についての研究である。三者の世界観の相違、観光の企画方法などについて述べている。1980 年代に一時観光は盛んになったが、その後落ち着き、パフォーマンスも規則的になった。内容は地元の人々向けと同じものであった。興味深いことは1つの精霊に対して1つのダンスが創造されているが、それぞれの国の観光客向けのダンスが創造される可能性があることである。

1993年

『森を食べる人々』 ジョルジュ・コンドミナス著  橋本、青木寿江 共訳 紀伊国屋書店 “Nous avons mange la foret”
  ベトナム高地に住むムノング・ガル族の1949年から1年の農業年に起こった出来事を日記の体裁を採って記述した詳細な民族誌である。彼らは年を毎年変わる耕作地の名前で記憶する焼き畑耕作民である。社会的な威信はどれほどの水牛を供儀したかで測られる。何よりも本書の民族誌学における意義は、35年前に既に対象社会における調査者の存在が「透明人間」ではなく、一人の人間として当該文化へ与える影響を意識的に反省し、調査者の行為・発言を記述し、「民族誌学的事実」とは何かを再考させるテキストとなっている。
1996年
 11月
『文化を書く』 ジェイムズ・クリフォード、ジョージ・マーカス編 春日、足羽、橋本、多和田、西川、和迩訳  紀伊國屋書店
第5章「民族誌におけるアレゴリーについて」 ジェイムズ・クリフォード 橋本訳
  民族誌は不可避的にアレゴリーとなる。アレゴリーの介入を考慮すると民族誌の記述法や読書法を変えざるを得なくなる。今まで主要な位置を占めてきた表象・象徴に疑義が挟まれ、「これはあれについての物語り」とだけしか言えなくなる。アレゴリーを認めることは、民族誌の書き方と読み方を豊かに複雑にしていく。特に他者と他者を通しての我々自身の体系的な構築に対する責任の問題を明らかにする。
2012年
 12月
『王権』 A.M.ホカート著 岩波書店 単独訳
  “Kingship”425頁

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